普通車の免許で原付に乗る時に注意すべき本当のポイント
この記事は 2019年9月25日 時点での内容であり現在は状況が異なる場合があります。
普通車の免許を取得すると、それがAT限定にせよ限定なしにせよ原動機付自転車や小型特殊自動車(例えばトラクターとかです)にも法規上は乗ることができるようになります。
しかし、だいたい慣れないことをするときはよく注意したほうがいいものです。この場合も例にもれず、こういった普通車ではない乗り物に乗るときには、普通車に乗るときとは違った「気をつけなければならないこと」がたくさんあります。
このブログでは特に道路交通法で原動機付自転車と規定される50cc以下のものについて紹介します。
この記事は私が信用に足ると判断したWebの情報とe-Govで提供されている道路交通法の内容をもとに私が解釈し直した内容であり、道路の通行その他に関してはご自身の責任のもとでなされるようお願いいたします。また記事中にはわかりやすさを優先するため完全な正確性が担保されない表現を用いています。
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もくじ
基本の走行車線
基本は左側を走ろう
まず、原動機付自転車もそうですが「車両」は基本的に、進行方向の車線が複数ある場合は左側の車線を、ない場合も左端を通行することが推奨されています。
道路交通法 第20条 第1項
車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によって指定された自動車を除く)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となっているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる
道路交通法 第18条 第1項
車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。
第20条はつまり、「小特や通行帯指定された車両を除いて、左の通行帯を走りましょう」ということですね。
※「通行帯指定された車両」とありますが、例えば「大きめの幹線道路において大型などが原則左の通行帯を通行する」というような指定がなされている場合などがあるわけです。
第18条は、「まあ基本通行帯がなくても左側によって走りましょうね」ということですね。
※ただ、後述のように小回り右折をするシチュエーションや、そもそも障害物を越すような状況もあります。原動機付自転車に限って強く最左走行を指示する文献も見当たらないため、「原付きだけは!」という指定があるのかどうかは不明です。
交差点付近での通行帯と二段階右折
では、交差点付近での走り方と、二段階右折についても調べてみましょう!
そこで調べてみると、道路交通法第34条の一部と第35条第1項にはこのようにあります。特に、34条の5項では二段階右折の方法が、35条では通行帯指定に関してが書かれています。
道路交通法 第34条 第2項
(省略:通常の小回り右折の方法について規定)
同 第4項
(省略:一通で右折するときの方法を規定)
同 第5項
原動機付自転車は、第二項及び前項の規定にかかわらず、道路標識等により交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につき交差点の側端に沿つて通行すべきことが指定されている道路及び道路の左側部分(一方通行となつている道路にあつては、道路)に車両通行帯が三以上設けられているその他の道路(以下この項において「多通行帯道路」という。)において右折するとき(交通整理の行われている交差点において右折する場合に限る。)は、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。ただし、多通行帯道路において、交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきことが道路標識等により指定されているときは、この限りでない。
つまり、めちゃんこ要約すると、第34条の第2,4,5項では
「信号や手信号がある交差点で『二段階右折の指定がある道路 もしくは 進行方向の通行帯が3以上ある道路』 で右折する時は二段階右折しましょう」
「でも、 二段階右折禁止の指定がある道路 では普通に右折レーンや道路の右よりから右折しましょう。」
「そして、二段階右折する時は、できるだけ左よりを走って、交差点でもはじっこを徐行して行こうね」
と書かれています。意外にも詳しい二段階右折の方法については指定されていませんね。ちなみに道交法には二段階右折も小回り右折も言葉では登場しません。
では、これを含めた交差点通行方法について規定した条文も見てみましょう。
道路交通法 第35条 第1項
車両(軽車両及び右折につき原動機付自転車が前条第五項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする原動機付自転車を除く)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、前条第一項、第二項及び第四項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。ただし、第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないときは、この限りでない
めちゃんこ要約すると、第35条第1項では「チャリンコの時とか、原付の二段階右折の時以外は、通行レーンに従えよ。救急車とかが来た時は仕方ないけど。」ということですね。
だからつまり、こういうことになるようですね。
- 左折する時
基本的に普通に左折 - 直進する時
普通に直進する!最左が左折レーンなら直進レーンを通行する! - 小回り右折する時
信号が無い道路
信号があっても二段階右折禁止標識がある道路
信号があって標識がなくても二車線以下の道路 - 二段階右折する時
信号があって3車線以上の道路
信号があって二段階右折標識がある道路!
ちなみに、よく「左折専用レーンから右折する!?」のような煽りタイトルのつく解説記事を見ますが、二段階右折の方法指定の第34条第5項を見ると、「できるだけ」左によるとありますから、つまりできないときはそうしなくても良いんでしょう。事実、安全地帯によって分離された左折レーンや常時左折可能となっている左折レーンから直進するのは不可能/相当な危険が伴うために、つまり無理です。
ただ、左折レーンの渋滞で前に進めないときに直進レーンを使い直進して二段階右折に入るような場合は、「できるだけ」左端に寄ったかには検討の余地があるので、面倒が嫌ならやらないことです。
普通車の感覚では注意すべき道路
さて、クソ複雑な通行帯と右折方法のおよそを理解したところで、まだまだ終わりませんよ。しかし、ここからは厳密な法や条文の話はしません。
さて、原動機付自転車に乗る時は、「普通車の感覚で走るとダメな道路」と「原付の感覚で走るとダメな道路」があります。さらに、それに限らずいろいろ注意すべき点もあります。難しい!まずは、普通車の感覚で走るとダメな道路から紹介していきましょう。
大きな道路
まず、片側3車線以上の幹線道路、山手通りや明治通りなどは極力原動機付自転車では走らないようにしましょう。まず制限速度が30km/hの原動機付自転車では、そのような道路では他車の”流れに乗る”ようなことも難しいです。
また大きな道路に原付がいると目立つので、速度違反などを取られやすくなることも考えられるでしょう。
原付では走れない道路
例えば、大きな幹線道路のアンダーパスや陸橋では原動機付自転車が走ることができない道路がたくさんあります。例えば、原付や二輪車だけ通行が禁止されている道路など。
例えばこの標識のある道路。二輪車のうち原付だけが通行できません。モノによっては原付も通行できるアンダーパスや陸橋もありますが、できないこともあるので要注意です。
原付の感覚で走るとダメな道路
一方で、原動機付自転車は小回りがきくし小さいし素早いので、普通車では絶対に行かないような細かい道路を走る機会がありますね。こういう原付特有の特徴が違反と危険を産むのです。
細い道路に注意
中くらいの大きさの道路に接続している細い路地や細かい道路というのは、普通車では絶対に行こうと思いませんが、原付では行けてしまいます、簡単に。小回りがききますし、ゆっくりなためです。
しかし、そういう道路は地域によっては「一方通行」であったりそのための「進入禁止」であったり「歩行者専用」であったり、時間帯で右左折禁止であったりすることが多いです。246沿いにもそういった道路がありました。中には「居住者専用」というものもあります。
例えばこれは、7時から20時の間だけは直進しかできません。気が滅入りそうでしょう。しかし、よく注意してみてくださいね。
細かい路地
また、住宅街のような路地を走るときも危険です。丁字路に差し掛かったとき、交わる道路が一方通行であることに気づかずに、行けない方向に曲がってしまうこともあります。
また、一本の道路でさっきまで相互通行だったのに、気づいたら途中から一方通行の道路になっていたなんてことがたくさん。また歩行者専用道路などもこっそり隠れています。
挙げ始めるとキリがありません。この手の面倒くさい標識は幹線道路ではなく、原付の独壇場である生活道路に多いので、余計に厄介です。
転回(Uターン)
これは転回禁止。原付の感覚だとかんたんにUターンできるので、これも警察の餌食になります。中くらいの道路では特に注意!
一時停止や踏切、横断歩道
こちらも原動機付自転車の感覚で走っていると危険です。交通安全週間などは特に危険です。
一時停止安全確認って、速度が0になるから以外に止まりきらないで行ってしまいそうになるんですよね。しかし、一時停止はしっかりしましょう。
さらに、歩行者が渡ろうとしている横断歩道における歩行者優先なども徹底して行っていきましょう。止まらないと、普通に違反です。止まるのが優しさ、とかではなく、止まらないと違反なんです。
免許携帯も注意
チャリンコ感覚で走ると財布を忘れたりします。注意しましょう!免許はすぐに取り出す必要があるので、ヘルメットボックスの中に入れていたりすると免許不携帯になるケースがあるようです。気をつけて!
原付最後の手段
曲がらないとならない道路だけど、曲がれない!ここ右折したいのに!みたいな状況に陥った時は、もうバイクのエンジンを切って、バイクから降りて徒歩しましょう。
徒歩してしまえば、道路交通法的にはあなたは歩行者と同等ということになりますので、右折禁止もクソもありません。
安全運転で行ってらっしゃい
基本的にこれくらいを知っておけば問題なく原付に乗れると思います。
わからないことや納得行かないことがあれば、e-Govを参照するか最寄りの警察署に電話で問い合わせるのが一番手っ取り早く確実ですね!
ではお気をつけて。
参考: 普通免許で運転できる車種をわかりやすく解説!【2018年最新運転免許制度】 原動機付自転車の二段階右折 二段階右折